その典型例は、「ネットカフェ難民」でしょう。
ネットカフェ難民とは、定職を持たずに、ネットカフェなどで寝泊まりしている人たちのことです。
マスコミでは、「働いても働いても豊かになれない」「どんなに頑張っても報われない」という格差社会が、ネットカフェ難民を生み出しており、「格差社会のなれの果てが、ネットカフェ難民なのだ」という論調が聞かれます。
そもそもネットカフェ難民の中には、正社員として責任を背負うよりも、自由な勤務形態を望んでいる人たちもいると思われます。
またネットカフェに寝泊まりするのに、毎日2000円近くを支払っているのですから、月5~6万円のアパートであれば、借りることもできるはずです。
とはいえ、一部には正社員になることを望みながらもその望みが叶わず、定職がないためにアパートを借りることすらできない人たちもいるでしょう。
確かに、そういう人たちはかわいそうですし、政策としてサポートする必要があるかもしれません。
しかし「ネットカフェ難民はかわいそう」という感情論だけでは、問題は解決できません。
もし真剣にネットカフェ難民の問題を解決するのであれば、議論すべきは「かわいそう」ということではなく、「経営者」という論点だからです。
日本において企業の圧倒的多数を占めている小企業の経営者は、事業に失敗すれば夜逃げせざるを得ない立場にあり、じつはネットカフェ難民と呼ばれる人たちと近い境遇に置かれているという見方すらできるからです。
「働いても働いても豊かになれない」「どんなに頑張っても報われない」というやるせない思いを抱くのは、ネットカフェ難民だけではありません。
同じような切なさを胸に宿しながら日々を過ごしている小企業の経営者や個人事業主はたくさんいます。
雇用問題が語られる場合には、「労働者=弱者≒経営者=強者」という単純な図式が当てはめられがちですが、「強者」と呼べるような大企業の経営者はほんのわずかです。
ほとんどの経営者は、吹けば飛ぶような小企業の社長か、自営している個人事業主というのが日本の実情なのです。
残念ながら、ビジネスというものは、そんなに簡単なものではありません。
「働いても働いても豊かになれない」かもしれないのがビジネスですし、「どんなに頑張っても報われない」かもしれないのがビジネスです。
そして、そのレベルでへこたれてしまうような経営者は、いつの間にか淘汰されます。
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